依存性が高く再犯のおそれが非常に高い
薬物の最も恐ろしい点はその依存性の高さにあります。覚せい剤事犯の再犯率は65.9%にも及んでいます(「最近の薬物情勢について」[厚生労働省・平成30年])。
また、薬物は使用者の心身の健康を害するだけでなく、薬物の影響による幻覚や妄想から、他人を発作的に殺傷する凶悪犯罪発生の引き金にもなっています。
刑罰が重い
たとえば覚せい剤事件を例にすると、覚せい剤を所持・譲渡・譲受・使用する行為には10年以下の懲役が科されます。
さらに、営利目的で上記の行為をすると1年以上20年以下の懲役が科されてしまいます。
罪の意識が希薄になりやすい
薬物事件には直接的な被害者がいません。その分、被疑者・被告人の方も自分が薬物に手を出した行為がなぜ問題なのか、罪の意識を持ちづらいのです。
このような特徴を持つ薬物事件では、単純に“刑を軽くする”ための活動だけが弁護人の役目ではありません。以下では、薬物事件について、詳細な裁判までの流れや依頼者に合った弁護方針をご説明します。
覚せい剤とは
- ①フェニルアミノプロパン(=アンフェタミン)、フェニルメチルアミノプロパン(=メタンフェタミン)及び各その塩類
- ②上記と同種の覚せい剤作用を有する物であって政令で指定するもの
- ③上記2つのいずれかを含有する物
と定義されています(覚せい剤取締法第2条1項各号)。
規制対象となる行為
- ①
覚せい剤の所持、譲り渡し、譲り受け(同法第41条の2)
これらの行為には、10年以下の懲役が科せられます。
また、営利目的でこれらの行為を行うと、より重く1年以上の有期懲役、又は情状により1年以上の有期懲役及び500万円以下の罰金が科せられます。
なお、これらの行為は未遂(途中で警察に逮捕されて覚せい剤を入手できなかった等)であっても処罰されます。 - ②覚せい剤の使用(同法第41条の3)
覚せい剤を使用すると、10年以下の懲役が科せられます。
また、営利目的で覚せい剤を使用すると、より重く1年以上20年以下の有期懲役が科せられます。
覚せい剤の使用も、未遂行為が処罰の対象となります。 - ③密輸入、密造(同法第41条)
これらの行為には、1年以上20年以下の有期懲役が科せられます。
また、営利目的でこれらの行為を行うと、より重く無期若しくは3年以上の懲役、又は情状により無期若しくは3年以上の懲役及び1000万円以下の罰金が科せられます。
これらの行為も、未遂(途中で警察に逮捕されて密輸入等ができなかった等)の場合でも処罰されます。
その他にも、原料の製造、輸出入の禁止や、医療行為として覚せい剤を使用する者に対する規制など、幅広い行為が規制の対象となっています。
大麻
大麻取締法により規制の対象となっています。
コカイン、ヘロイン、MDMA、LSD、リタリン、鎮静剤、睡眠薬等
麻薬及び向精神薬取締法により規制の対象となっています。
あへん
あへん法により所持等が規制の対象となっています。
有機溶剤
シンナー、トルエンなどは、毒物及び劇物取締法により規制の対象となっています。
危険ドラッグ
かつては“合法ドラッグ”、“脱法ハーブ”などと呼ばれていましたが、平成19年4月施行の旧薬事法改正(平成24年に薬機法に改称)で「指定薬物」に含まれることになったため、治療行為等以外での製造、輸入、販売、授与、所持、購入、譲受、使用が規制されています。