凶悪犯罪や薬物犯罪、有名人が関わった犯罪や交通事件まで、毎日さまざまな事件のニュースが報道されています。
ニュースでは、犯行の手口や被害の内容、犯人がどんな人物なのかといったことが伝えられ、私たちはどのようなことが起きたのか知ることができます。
その一方で、ニュースでは報じられないことも多くあります。
犯人に科される刑罰がどれくらいになるのか、裁判になって刑罰が決まるまでどれくらいかかるのか。
その間犯人や警察官、検察官、弁護人は何をしているのか。
その犯罪が成立するポイントは何で、どのような点がよく争われるのか。
どういった証拠を集める必要があるのか。
こういったことはニュースではあまり報じられません。
皆さんもニュースを見ていて「それってどういうことなの?」という疑問を持ったことはないでしょうか。
また、ニュースに出てきた言葉の意味がよくわからないまま、聞き流したことはないでしょうか。
刑法や刑事訴訟法を学べば、犯罪や刑事手続に関する知識を得ることができます。
しかし「司法警察員は、被疑者を逮捕してから48時間以内に検察官に送致しなければならない」と知っていても、
具体的な情景はなかなか目に浮かびません。
被疑者を逮捕してから警察官が具体的に何をしているのか、被疑者がどこで何をしているのか、「送致」とはどういうことなのか、なかなかイメージが沸いてこないのではないでしょうか。
私は、現在弁護士として活動していますが、その前は検事として約10年半、数多くの事件を取扱ってきました。
毎日毎日、窃盗から薬物犯罪、傷害事件、交通事件や知能犯など、あらゆる犯罪の捜査や裁判を担当していました。
警察官とは頻繁に連絡を取って捜査を進めていきましたし、日々、被疑者や参考人の方々と接していました。
裁判では弁護人や裁判官ともやりとりをしながら、尋問やその他の主張立証を行っていました。
ですから、事件のニュースを見ると、ニュースキャスターが語らなくても様々なことが推測できるようになりました。
「きっとこういう証拠があるのだろう」とか、
「この事件の立証のポイントは○○だろう。立証のハードルは結構高そうだ」、
「裁判になったらきっと長くかかるだろう」、
「有罪なら懲役○年くらいだろうし、執行猶予はつかないだろう」、
「この手の犯罪は意外と刑が軽い」というようなことが、見通せるようになりました。
いわば、「ニュースの行間」が読めるようになってきたのです。
このブログでは、報じられた事件のニュースを取り上げ、報じられなかった「ニュースの行間」を解説します。
「それってどういうことなの?」という疑問に答えていきたいと思います。