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元検事のコラム

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実刑確定の男が逃走中という話

捜査犯罪

6月19日午後8時現在も進行中の事件ですが、実刑確定の男が逃走したというニュースが飛び込んできました。

窃盗と覚せい剤取締法により東京高裁で懲役3年8ヶ月の判決が確定しており、地検職員が刑務所に収容するため自宅を訪れた際に、刃物を振り回した上、自動車に乗って逃げたということです。

勘違いされがちですが、実刑確定の人を収監する仕事は警察でなく検察の仕事で、検察事務官が担当します。

警察官と違って格闘技等の訓練は受けていませんし、拳銃も所持していないので、今回のようなことが起こるのは仕方がない面もあると思います(今回は警察官の補助を受けていたようですが、メインで担当するのは検察事務官です)。

実刑が確定すると刑務所に収容されることになりますが、裁判の段階から身柄拘束されている場合が大半で、身柄拘束が引き継がれるので今回のような問題は起きません。

これに対し、保釈された後に実刑判決となった場合は、被告人を再度身柄拘束することになります。

もっとも、一審判決であれば判決に必ず被告人が出廷しますし、実刑判決と同時に保釈の効力が切れて身柄拘束が復活します。

ここでも検察事務官が被告人を身柄拘束をするのですが、通常は判決直後の法廷内で行われ、場所的にも心理的にもなかなか逃げづらい状況で身柄拘束されるので、揉めることはあまりありません。

今回のように、自宅などに赴いて収容するというのは、当初から身柄拘束されていない場合や、一審判決後に(再度)保釈され、その後に控訴審や上告審を経て実刑判決が確定する場合です。

そのような場合でも、多くの人は観念していますし、呼び出しに応じて検察庁に出頭して収容される場合が多いのです。

検察事務官がわざわざ自宅まで迎えに行くことは多くないと思いますし、強く抵抗されることはなおさら少ないと思います。

今回の件で検察庁の対応が今後問題になってくる可能性はあると思いますが、私が思うのはなぜこのような被告人の再保釈が認められたのかという点です。

報道によるとこの被告人は一審判決後に保釈されていたというのですが、懲役3年8ヶ月というのは比較的長期の実刑です。

一審判決も懲役3年8ヶ月の実刑だったと言うことですが、そのような状況でなぜ保釈されたのでしょうか。

一審判決後の保釈は、一審判決前の保釈と異なり例外的といってよいと思います(権利保釈は認められません)。

よほど身元がしっかりしている人の場合などでなければ、通常は認められないと思います。

最近は以前より保釈が緩やかに認められるようになってきましたし、一審判決後の保釈も認められる場合が増えてきました。

推定無罪の原則が働くとはいうものの、一審判決によって有罪であることや実刑であることがほぼ確定している場合にも緩やかに保釈を認めてよいのかは、また別の議論がありうると思います。

今回の件はその傾向に一石を投じることになると思います。

※報道を受け内容を一部修正しました。

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