保釈中の被告人が逃亡した事案が複数報道されています。
このような事案は実は以前から少なからず発生していたものですが、先日発生した実刑確定の男が逃走した事案を機に世間的な注目が集まってきました。
当ブログで以前から何度か述べているように、近年裁判所は以前よりも身柄拘束のハードルを上げてきています。
保釈は身柄拘束からの解放ですから、この流れに沿って近年は容易に認めるようになってきました。
その傾向自体はまったく問題だとは思いません。
個人的には望ましい傾向だとは思うのですが、問題なのが裁判官の判断に疑問符が付く場合があるという点です。
「なぜこの事案でこの被告人に保釈を認めるの?」という事例が少なくないのです。検察側、弁護・被告人側の立場の違いを考慮してもなお疑問を抱かせるような判断がしばしばなされており、裁判官は事情をしっかり検討しているのか、安易に考えているのではないかと疑問を感じたことが正直ありました。逆になぜ保釈を認めないのか?という場合もあると思います。
先日の実刑確定の男が逃亡した事案も、事案の詳細はわかりませんが、犯罪の内容や第一審判決の刑の重さ、男の経歴などからすると少なくとも逃亡のおそれが高かったと思われますし、第一審判決で実刑となった後に保釈を認めたのは疑問だったと言わざるを得ません。
保釈を認めるかどうかの判断は、罪証隠滅のおそれがあるのか、逃亡のおそれがあるか、身柄拘束を続けることで被告人にどれだけの不利益があるかなどの事情を総合的に判断します。
安易に保釈すると、自由になった被告人が被害者に報復をするかもしれません。逃亡して裁判が続けられなくなるかもしれません。逆に保釈を認めなければ、被告人の事業が立ちゆかなくなるとか持病が悪化するなどの重大な不利益をもたらすかもしれません。
保釈の判断はこのように影響が大きく責任の重い判断ですから、様々な事情を考慮し熟慮熟考して判断する必要があるはずです。
その点に関して大丈夫か?と思えるような事案が一定数存在するように思えてならないのです。
保釈中の被告人が被害者に報復を行うなど、重大な事案が発生しなければよいと願っておりますが、どうなることでしょうか・・・